1)6月のリゾート会員権取引状況

 欧米諸国の金利引き上げによる金融引締めが続いて円安が進む中、海外からの観光客が増えてきています。
観光業全体の底上げになれば、リゾート会員権業界にも良い影響が出てくるものと期待しております。

6月のリゾート会員権市場は先月同様、堅調に推移しております。
夏のリゾートシーズンに向けての需要が会員権市場を下支えしています。

今月の特徴は低価格帯会員権が活発な動きを見せたということです。会員権需要者の裾野の広がりが感じられます。
一方、高価格帯に属する会員権の取引は先月と比較すると減少しました。中でもエクシブSEグレードの取引件数の減少が目立ちました。交換グレードEとSの間という「隙間」的な位置づけからくる価格設定の難しさが要因かもしれません。

今月、一番取引が多かった価格帯は、先月同様100万円未満の会員権でした。
全取引件数に占める割合が60%となりました。
物価が上昇する中で、経済的メリットを追求できる商品として、再評価されているのではないでしょうか。
エクシブ交換グレードAの会員権だけでなく、サンメンバーズ・ワールドホリデー、逗子マリーナオーナーズ、オアシスクラブ、鴨川リゾートクラブジャイロなど多彩な会員権が取り引きされました。
それぞれ特徴のあるクラブなので、取引されることは首肯されます。

100万円以上300万円未満の会員権と300万円以上の会員権の取引占有率は20%で同率となりました。
まずは、100万円以上300万円未満の会員権の取引状況ですが、エクシブ交換グレードCで100万円台の会員権の取引が多い月となりました。一方、エクシブ交換グレードEの会員権の取引は先月比で42%減少しています。これは、先月、このグレードの会員権の多くが取引されたことで値ごろ感のある会員権が少なくなったことによるものと思われます。

次に、300万円以上の会員権の取引状況ですが、先月と比較すると半減しました。理由はエクシブ交換グレードE、SEの会員権の取引件数が85%以上減少したことに因るものです。5月に割安感のあった会員権が取り引きされてしまっていること、及び、Sグレードの会員権が値下がりして、SEの会員権との価格差が縮まってきていることが原因と考えられます。


2) 6月のリゾート会員権流通の特徴

 市場価格が上下した件数は多いのですが、その上下幅は少ない月となっています。
値下がり件数が多かったのはエクシブ交換グレードA(スタンダード)とエクシブ交換グレードS(スーパースィート)となっています。
また、東急ハーヴェストクラブの値下がり件数が多い月となりました。これは、東急リゾート㈱の出している会員権価格よりも低い価格で市場に出す流通業者が増えてきているからです。このような状況が続けば、高止まりしている東急ハーヴェストクラブの市場価格もこなれ、取引も活発になると思われます。
今月も、値下がり件数は多かったのですが、少額商品だったので、値下がり幅は小さいものとなっています。

  値上り
会員権数
値下り
会員権数
指  数 前月比較
6月 2件 45件 364ポイント 7ポイント

6月に値上がりした件数は28件でした。
70%以上がエクシブの値上がりとなっています。その内訳は、エクシブSグレードだけが値上がり件数が少なく、その他のグレードの会員権はだいたい同数の値上がり件数となっています。
エクシブ以外の会員権の値上がり件数は、東京ベイコート倶楽部が4件、東急ハーヴェストクラブが3件となっています。

6月に値下がりした件数は45件となり、前月比で5件多くなっています。
値下がり件数が多かったには、エクシブ交換グレードSタイプと交換グレードAの会員権となっており、この二つでエクシブの値下がり物件の58%を占めています。
エクシブ交換グレードSの会員権への反応が芳しくなかったことで、市場が弱含んだものと思われます。一方、エクシブ交換グレードAは販売口数が多いので、価格変動件数も多くなってしまいます。

6月に最高値を更新した会員権は2件でした。
いずれも東急ハーヴェストクラブでした。
東急ハーヴェストクラブ那須で1,140万円から1,200万円へ、同じく那須Retreatで1,330万円となっています。

6月に最安値を更新した会員権は3件です。
エクシブ六甲サンクチュアリヴィラ(13泊)720万円から700万円、芦屋ベイコート俱楽部ベイスィート(12泊)320万円から310万円、同ラグジュアリスィート(12泊)700万円から690万円への値下がりとなっています。
これらの会員権は市場に出てきて間がないので、少しづつ価格がこなれていくものと思われます。