1) 5月のリゾート会員権取引状況

新型コロナウィルスの緊急事態宣言が5月25日全面解除されました。この間、約1か月半に及ぶ様々な日常生活への自粛で、多方面にわたる「疲弊」が現れています。
具体的には、所謂コロナ倒産が5月には83件となり個人消費関連の業種が大きく影響を受けています。業種別では宿泊業が最も多くなっていることが気になります。
反面、株価は5月の1ヶ月で2,258.57円(11.5%)上昇しています。多くの上場企業の決算の発表後でも、この株価の値上がりでした。この点はリゾート会員権市場に良い影響が出てくるものと思われます。

リゾート会員権流通市場は、4月の落ち込みから回復してきました。
この回復基調が継続するならば、リーマンショックよりも影響が少なくて済む可能性が出てきます。理由としては、リゾート会員権購入層が経済的にコロナの影響をそれほど受けていない可能性があること。「コロナ疲れ」による活動欲求がリゾート(自然回帰や温泉)へ向かわせていることなどが考えられます。
特に、取引件数を4月と5月で比較するとプラス205.8%となりました。因みに、リーマンショックの翌月の2008年10月を9月と比較するとマイナス5%となっていますので、今回はリーマンショックの時よりも回復力があったと見る事もできます。しかし、コロナの経済的影響が不透明であることから、予断は許さない状況であることは否めません。

次に、取引された会員権価格を見てみます。
5月に一番取引が多かった価格帯は100万円未満の会員権でした。
全取引中68%がこの価格帯の会員権の取引となっています。
この68%中、エクシブの占める割合は54%となっており、先月より34ポイント増えています。
今月はエクシブの交換グレードCの取引件数が多くなっています。割安感のある会員権が多かったことによるものです。

次に取引が多かったのが100万円以上300万円未満の会員権でした。
全取引の23%となっており、先月の占有率より11ポイント増加しています。
エクシブの交換グレードCとEで占められています。そして、今月多かったのは、京都八瀬離宮の交換グレードCの会員権です。この会員権は100万円を超えた価格でも取引されています。

最も少なかったのが300万円以上の会員権でした。
全取引の9%がこの価格帯の取引となっています。先月占有率から20ポイント減少しました。
コロナの影響が高額商品に最も出たと言えます。先が読みにくい経済環境なので、高額商品への検討を差し控えられたのではないでしょうか。

 

2) 5月のリゾート会員権流通の特徴

 5月の流通市場は価格変動の少ない月となりました。
売・買ともに変動件数が10件台を下回ったのは2016年9月以来の事です。
毎月市場価格を動かしていた東急ハーヴェストクラブですが、5月の変動は1件のみとなっています。

  値上り
会員権数
値下り
会員権数
指数 前月比較
5月 9件 12件 234ポイント -2ポイント

5月に値上がりした件数は9件でした。
値上がりした会員権を見ますと、9件中7件がエクシブとなっています。
従来の値上がり要因の多くは、前月に取引されて安い会員権が市場から消えたことによる値上がりでしたが、今月は売り止めで安い会員権が市場から消えたことによる値上がりが多い月となっています。
毎月のように値上げしていた東急ハーヴェストクラブですが、今月は1件も出ていません。

5月に値下がりした件数は12件でした。
先月同様、値下がりした会員権の多くは何カ月も同じ価格で市場に出ていた会員権が値下げされた事例です。
なお、値下り傾向の強かったエクシブ交換グレードA(スタンダード)の値下り数が減っており、落ち着きを見せてきています。

5月に最高値を更新したのは「0」となっています。
毎月複数の値上げをしている東急ハーヴェストクラブの値上げが1件もなされなかったので、最高値の更新物件も出ていません。

一方、4月に安値を更新した会員権は3件でした。
エクシブが2件、東急ハーヴェストクラブVIALAが1件となっています。
内、東急ハーヴェストクラブVIALAannex軽井沢が5万円値下げして最安値となっています。この価格でも依然として高止まり感があります。